今回は「分配器」に焦点をあてます。
分配器はテレビ周辺機器の重要な機器の一つですが、馴染みのある方は少ないかと思います。
「テレビの台数を増やしたい」
「各部屋でテレビを見たい」
などテレビの状況が変わるときに初めて知る方もいらっしゃいます。
分配器は簡単に説明すると1基のテレビアンテナを複数のテレビで共有するときに欠かせない機器です。
分配器がないとテレビの台数分だけアンテナを設置しなければなりません。
分配器について調べている方やアンテナ設置を検討されている方に参考になる内容です。
アンテナケーブルを2つに分ける分配器について
「各部屋でテレビを見たい」
「アンテナ端子がない部屋にテレビを設置したい」
そのような状況で活躍する機器が分配器です。
アンテナ端子とはアンテナが受信した電波を部屋まで届けるために使われる挿し込み口(円形)です。
部屋が複数ある家でもすべての部屋にアンテナ端子があるとは限りません。
家を建てたときは不要と思いあえて設置しなかった部屋に、時を経て状況が変わりテレビを置きたいと思われるケースもよくあります。
解決策として隣接する部屋のアンテナ端子を利用する方法が挙げられます。
アンテナ端子とテレビの間に分配器を設置しケーブルを引くことでアンテナ端子のない部屋でもテレビを視聴できます。
分配器は通常アンテナ端子の数に合わせた出力数を持つ分配器が設置されています。
例えば3部屋にアンテナ端子がある場合には3分配器を設置するということです。
ただアンテナ端子の数よりも多い出力数の分配器が設置されていることもあります。
前例の場合では4分配器が設置されているということです。
その場合、未使用の出力端子を利用してアンテナ端子のない部屋までケーブルを引く方法も考えられます。
いずれにせよ、分配器を設置すると各テレビに届く放送信号のレベルが下がるためブースター設置などの対策が必要になるかもしれません。
そもそも分配器って?分波器や分岐器との違い
上記項目【アンテナケーブルを2つに分ける分配器について】で「分配器」のご説明をしました。
「分配器」とよく似た名称で、「分波器」「分岐器」があります。
特に「分波器」は「い」の有無の違いで聞き間違いも起こるほど似た名称です。
しかし各機器の役割は異なります。
ここでは改めて分配器の説明をした上で、分波器と分岐器についてもご説明します。
分配器 | 複数のテレビで見る |
分波器 | 地デジとBS/CSの電波を分ける |
分岐器 | ビルなど大型の建物で使用 |
分配器・・・複数のテレビで見る
分配器とは放送信号を2つ以上に等しく分配する機器です。
テレビの周辺機器である分配器はテレビ信号を分ける役割を持っています。
地デジ放送の場合、地上にある電波塔(東京スカイツリーや生駒山テレビ送信所など)からご自宅に設置した地デジアンテナが電波をキャッチし、放送信号へ変換させてからケーブルをつたいテレビまで届けます。
アンテナの1基に対してテレビが複数台あるとき、アンテナが受信した電波を分ける必要があります。
分配しないとテレビ1台に対してアンテナ1基が必要になります。
つまり分配器はテレビを複数台所有するときに設置します。
またテレビが1台であっても、BDレコーダーやHDDにケーブルを接続する際にも分配器を使います。
分配器は「平等に」分配します。
分配する数(出力する数)によって「2分配器」「3分配器」「4分配器」など種類があります。
出力数がいくつでもあってもすべて平等に分配されます。
分配数が多くなると各テレビへ届けられるレベルは下がるため、場合によってはブースターの設置などの対策が必要です。
分波器・・・地デジとBS/CSの電波を分ける
分波器とは2つ以上の電波を分ける機器です。
主に、地上波放送と衛星放送の2種類を視聴するときに使用します。
地上波放送と衛星放送とそれぞれのアンテナを設置して、それぞれのアンテナが地上デジタル送信所や人工衛星から電波を受信します。
それぞれ受信された電波は放送信号へ変換されて、ケーブルをつたいテレビまで届けられます。
このときテレビの近くの壁面にあるアンテナ端子は一つです。
つまり2つの異なる電波が1つにまとめられて部屋まで届けられています。
ただテレビの裏側または側面にある入力端子では「地デジ」と「BS/CS」が分かれています。
そこで一つにまとめられた電波を分ける役割を持つ機器が必要とされ、分波器が用いられています。
分波器は周波数によって電波を分けています。
分岐器・・・ビルなど大型の建物で使用
分岐器は放送信号を「不平等に」分配する機器です。
役割としては分配器と似ています。
ただ分配器が「平等に」分配するのに対して、分岐器は「不平等に」分配する点で異なります。
分岐器は分配器や分波器と違い、一般の家庭で活躍することあまりなく、3者の中での知名度は最も低い機器だと思います。
分岐器はビルやマンションなど集合住宅で使用し、各世帯で設置することはほぼありません。
放送信号を「不平等に」分配することは、放送信号に傾斜配分が必要とされるときです。
例えば屋根の上にアンテナが設置されている場合、アンテナから各部屋までの距離は上層階と1階とでは大きく異なります。
アンテナから部屋までをつなぐケーブルの長さも当然異なります。
そこで1階へ送る出力するレベルを初めから高く設定するために分岐器を使い、結果として届けられるレベルを平等にします。
分配器の接続方法【ケース別】
分配器の接続方法について、ケース別にご紹介します。
・アンテナ端子が1つで地デジのみを視聴
・アンテナ端子が1つで地デジ+BS/CS放送を視聴
・アンテナ端子が2つある場合
上記3つのケースを取り上げます。
いずれのケースも分配器の設置方法は非常に簡単です。
アンテナとテレビをつなぐケーブルに取り付けるだけです。
ただ各ケースで微妙に異なるため下記で詳しく説明します。
なお分配器によって各テレビへ届く電波が弱くなったときはブースター(増幅器)を設置することで解決するでしょう。
アンテナ端子が1つで地デジのみを視聴
上記の画像にアンテナは描かれていませんが、アンテナは「テレビコンセント端子」とつながっています。
テレビコンセント端子とはアンテナ端子のことで、アンテナとテレビをつなぐケーブルの挿し込み口です。
アンテナ端子は各部屋にあるとは限りません。
新築を建てる際に希望して各部屋に設けることはできます。
ただ設計当初と家族の状況が変わり、のちのちアンテナ端子がない部屋でもテレビを見たくなることはよくあることです。
アンテナ端子がない部屋でテレビを視聴する際、隣接する部屋にあるアンテナ端子を共有する方法があります。
本来分配器は設置されたアンテナ端子の数に合わせて放送信号を分配します。
しかし今回のようにアンテナ端子が1つしかない場合には、アンテナ端子まで届いた放送信号を所有するテレビの台数に合わせて分配することも可能です。
アンテナ端子が1つで地デジのみを視聴する場合の分配器の設置方法は、上記の画像のとおり、テレビコンセント端子(アンテナ端子)とテレビの間に設置します。
アンテナ端子が1つで地デジ+BS/CS放送を視聴
アンテナ端子が1つで地デジ+BS/CS放送を視聴したい場合も、分配器の設置方法は上記の項目【アンテナ端子が1つで地デジのみを視聴】と基本的に同様です。
アンテナとテレビの間に分配器を設置します。
ただ地デジとBSCS放送の両方を視聴する場合、テレビコンセント端子(アンテナ端子)が地デジのみに対応しているか、BS/CS放送にも対応しているかによって違いがあります。
アンテナ端子が地デジ放送のみに対応している場合
アンテナ端子からBSCSの放送信号を受信できないため、BS放送は、BSアンテナからテレビまでケーブルでつなぐ必要があります。
複数台のテレビで共有したいときはBSCS放送にも対応した分配器をケーブルの途中に取り付けます。
地デジ放送は、アンテナ端子から放送信号を受信できるため、上記の項目【アンテナ端子が1つで地デジのみを視聴】と同様に分配器を使用することで複数台のテレビで地デジ放送を視聴できます。
BS、地デジそれぞれのケーブルをテレビの裏側や側面にある入力端子へ挿し込みます。
テレビの入力端子は地デジ用とBSCS用に分かれています。
アンテナ端子が地デジ放送とBS/CS放送に対応している場合
分波器を使い、地デジとBSCS放送の電波をわけます。
アンテナ端子から地デジとBSCS両方の放送信号を受信できる状態ではアンテナ端子とテレビの間に分波器を設置します。
テレビの入力端子が地デジとBSCS放送と個々に設けられているためです。
上記の画像ではテレビのすぐ横にある機器が分波器です。
アンテナ端子が2つある場合
(画像引用:ビックカメラ)
アンテナ端子が2つある場合には、端子が地デジ用とBSCS用に分かれているのか、それともどちらも地デジ用あるいは両方に対応しているのか確認が必要です。
アンテナ端子が地デジ用とBSCS用に分かれている場合は記載があるはずです。
何も表記がないときは地デジ用またはBSCSにも対応しているタイプだと思われます。
アンテナ端子が地デジ用とBSCS用に分かれて2つある場合
上記の画像のとおり、分波器を必要としません。
それぞれのアンテナ端子からテレビの入力端子までをケーブルでつなぎます。
分配器は各ケーブルの途中に設置します。
アンテナ端子が同じ用途で2つある場合
これまでにご紹介した【アンテナ端子が1つで地デジのみを視聴】【アンテナ端子が1つで地デジ+BS/CS放送を視聴】の項目と同様の手順です。
なおBSCSに対応していないアンテナ端子の場合には、端子を通さずアンテナからテレビまでケーブルでつなぎ、必要に応じてケーブルの途中に分配器を設置します。
分配器の選び方は?購入時のポイント
分配器をご自分で購入する際の選び方や注意していただきたいポイントをご紹介します。
今回は5つのポイントに分けてご説明します。
①分配器の相場は100円〜17,000円
②BS放送を視聴するなら「全端子通電型」を選ぶ
③HDDを接続するなら「単体型」がおすすめ
④出力端子はテレビの台数+1本分がベスト
⑤4K8K放送を見るなら3224MHzの周波数帯対応のタイプを
各ポイントごとに参考製品をご紹介します。
なお⑤「4K8K対応」については「SHマーク」の有無が安心して使用できる製品の目安になります。
「SHマーク」とは4K8K放送で使用される3224MHzの周波数帯域まで対応している機器である証です。
①分配器の相場は100円〜17,000円
メーカー | DXアンテナ |
製品名 | 屋外用2分配器(全端子通電形) |
型番 | 2DLCS |
参考価格 | 9,757円 |
備考 |
・4K8K衛星放送(3224MHz)対応の、アンテナからの入力信号を均等に二つに分けることができる、屋外で使用可能な防雨構造の2分配器 ・全ての出力端子から入力端子へ電流(DC15V・0.8A以下)が通過する、全端子通電形 ・樹脂ケースの内部はノイズに強いダイカスト構造で、加工の手間が不要の防水キャップが付属、蝶ナット1本でマストに取付できる簡単金具を採用した省施工設計 ・JEITA SHマーク認証済 |
画像引用・参照 | DXアンテナ |
分配器はメーカーや種類によって価格に差があります。
相場は幅広く100円〜17,000円あたりです。
100円は百均でも販売されているためです。
一時的に使用するには100円の製品で十分かもしれません。
ただ長く使用する場合には国内3大メーカーのものを選ぶと安心です。(DXアンテナ、マスプロ電工、日本アンテナ)
②BS放送を視聴するなら「全端子通電型」を選ぶ
メーカー | DXアンテナ |
製品名 | 8分配器(全端子通電形) |
型番 | 8DMLS |
参考価格 | 28,809円 |
備考 |
・4K8K衛星放送(3224MHz)対応の、アンテナからの入力信号を均等に八つに分けることができる8分配器 ・全ての出力端子から入力端子へ電流(DC15V・0.8A以下)が通過する、全端子通電形 ・ノイズに強いダイカスト構造 ・JEITA SHマーク認証済 |
画像引用・参照 | DXアンテナ |
上記分配器は8分配のため相場よりも高額です。
分配器には「全端子通電型」と「1端子電流通過型」があります。
「全端子電流通過型」はすべての出力端子で通電し、「1端子電流通過型」は1つの端子のみ通電します。
BSCS放送を視聴する場合には「全端子通電型」を選びましょう。
BSアンテナはテレビから電気を送ることで放送を受信する仕組みになっているためです。
「1端子電流通過型」のほうが割安ですが迷ったときは「全端子通電型」を選ぶと間違いありません。
③HDDを接続するなら「単体型」がおすすめ
メーカー | 日本アンテナ |
製品名 | 3.2GHz対応2分配器 |
型番 | 2181601 |
参考価格 | 4,785円 |
備考 |
・3.2GHz対応の一端子電通型の2分配器 ・ダイカストケースを使用したシールド構造により、電波の漏洩・飛び込み防止に効果あり(最大DC15V・0.8A/AC30V・1A) ・付属品は取付ねじ2本(本体取付済)、機能アースねじ1本(本体取付済)、F型接栓(5C)端子数分 ・入力端子と出力1端子間電流通過型 |
画像引用・参照 | 日本アンテナ |
分配器の中にはアンテナケーブルと一体になった種類もあります。
ここでご紹介する「単体型」はケーブルがつながれていないタイプです。
HDD(ハードディスクドライブ)や無線LANなど外付け機器を利用する場合には「単体型」がおすすめです。
一体型に付属するケーブルが短かったり長すぎたりするケースがあるためです。
分配器は分配器、ケーブルは長さを測ってちょうどいいものを選ぶと失敗がありません。
④出力端子はテレビの台数+1本分がベスト
メーカー | マスプロ電工 |
製品名 | 4分配器 |
型番 | 4SPFW |
参考価格 | 7,810円 |
備考 |
・双方向 CATV 屋内用 分配器 、分岐器 ・屋内用分配器 1端子電流通過型 ・4K·8K 衛星放送に対応 ・優れたシールド構造 ・入力端子表示 ・位置決め線 ・取付けやすい高さ ・ケーブルを接続しやすい F 型端子 ・RoHS 指令対応 ・JEITA SH マーク HS マーク登録製品 |
画像引用・参照 | マスプロ電工 |
分配器は出力端子の数によって「2分配器」「3分配器」「4分配器」などにわかれています。
「所有するテレビの台数」分の出力端子を持つ分配器で足ります。
しかし「所有するテレビの台数+1本」分の出力端子を持つ分配器がベストとされています。
余った1本の出力端子は予備です。
使用しない出力端子には「ダミー抵抗器」で栓をします。
放っておくと電波が漏れたり、外部の電波を拾ったりしてテレビ映りに悪影響を及ぼすかもしれません。
⑤4K8K放送を見るなら3224MHzの周波数帯対応のタイプを
メーカー | DXアンテナ |
製品名 | 3分配器 |
型番 | 3DMS |
参考価格 | 6,655円 |
備考 |
・4K8K衛星放送(3224MHz)対応の、アンテナからの入力信号を均等に三つに分けることができる3分配器 ・一つの出力端子のみ電流(DC15V・0.8A以下またはAC30V・1A以下)が通過する、1端子通電形 ・ノイズに強いダイカスト構造 ・JEITA SHマーク認証済 |
画像引用・参照 | DXアンテナ |
BSCS放送や4K8K放送を見るなら3224MHzの周波数帯対応の分配器を選びましょう。
3224MHzは衛星放送を受信するために必要な周波数です。
以前の衛星放送や現在の地デジ放送は2K(フルハイビジョン)で2071MHzの低い周波数帯の対応の分配器でも問題ありませんでした。
しかし2018年(平成30年)12月に4K8K放送が始まり、高い周波数を受信できる装置が必要になりました。
アンテナのプロが行う分配器の設置場所
分配器はご新築の場合、ハウスメーカーや工務店などによって設置されているケースが多く、設置場所まであまり気にされないかもしれません。
テレビの台数が増えて使用中の分配器を交換するときに初めて分配器の設置場所やその存在を知る方もいらっしゃいます。
分配器はテレビの近く(アンテナ端子の近く)など室内にむき出しで設置されていることもあります。
ただ中にはアンテナ端子が1つの家や既存住宅(中古物件)ではもとより設置されていないケースもあります。
また設置されている場合でも多くが「見えない場所」に設置されています。
「見えない場所」はご自宅によって千差万別です。
情報ボックス、マルチメディアボックスなどが整備されている家にはボックス内に分配器も設置されているかもしれません。
ボックスは屋内に限らず屋外に整備されている家もあります。
また浴室天井点検口の中や屋根裏に分配器が設置されていることもあります。
いずれも普段は目につかない場所です。
分配器などの機器はむき出しの状態ではなく、可能な限り隠されているほうがいいとされています。
それは受信電波の安定性や経年劣化がしにくいことが期待されるためです。
もし分配器の場所が不明だったり設置場所が高所だったりしたらプロの業者を頼りましょう。
業者へ依頼すると当然材料費以外にも料金がかかります。
しかし正確な工事を期待でき、安心してテレビの使用を続けられます。
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相見積りも大歓迎ですので遠慮なくご連絡ください。
参考にアンテナ工事の費用相場をご紹介します。
(引用:みずほアンテナ)
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分配器接続方法まとめ
以上、テレビアンテナの分配器について接続方法や購入時の選び方などについて解説しました。
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