テレビを見るためにはアンテナを設置しなければなりませんが、どんなアンテナでもよいというわけではありません。
テレビ用のアンテナと一口にいってもいろいろな種類があります。
アンテナの購入や工事を考えているのであれば、最低でも用途に合ったアンテナを選べるようにしておく必要があります。
実際にアンテナを購入したり、業者に工事を依頼したりする前に、どんなアンテナを立てればよいのか一通り基礎的なことは知っておきましょう。
【アンテナの役割と仕組みを知ろう!】
アンテナには送信用と受信用があり、送信用は空間に高周波エネルギーを放射する仕組み、受信用は送信用アンテナが放射した電波をキャッチする仕組みです。
空間にはさまざまな周波数の電波があり、用途によって使い分けられています。
そのため、要らない周波数の電波を無視して、一定の周波数の電波だけを狙ってキャッチしたほうが効率よく必要な電波を受信できます。
ですから、アンテナとは一定の周波数の電波を効率よく受信するためのシステムということができます。
また、指向性アンテナと無指向性アンテナ(全方向性アンテナ)があり、テレビ用は無指向性、無線LANや携帯電話用のアンテナは無指向性です。
テレビの電波は発信される方角が決まっているからで、一定の方向からの電波を増幅して受信したほうが、高い強度や感度を維持できるからです。
【主要なアンテナの種類を押さえよう】
テレビ用のアンテナとして知っておきたいのは、八木式アンテナとデザインアンテナ、BS・110度CSアンテナ、4k8kアンテナくらいです。
八木式アンテナとは、従来型の魚の骨のような形をしたアンテナです。
アナログ放送時代から使われていたもので、広く普及しています。
ただし、アナログ放送時代の物はVHFアンテナ、地デジ用はUHFアンテナという違いがあります。
デザインアンテナは機能的には八木式アンテナと同じ地上波デジタル放送用のアンテナです。
フラットな形状で、壁面などに設置でき建物の外観を損ねないという点で人気があります。
BS・110度CSアンテナはパラボラアンテナとも呼ばれるもので、衛星放送を受信するためのものです。
4k8kアンテナは、高解像度の4k放送や8k放送を受信するためのアンテナです。
衛星放送ですが、従来の衛星放送用のBS・110度CSアンテナでは4k放送や8k放送のための周波数をキャッチできないため、別に設置する必要があります。
【コストパフォーマンスに優れた八木式アンテナ】
放射器、導波器、反射器の3つの部分で構成されているとても単純な構造なアンテナです。
2極性のダイポールアンテナの前後に導波器と反射器を置いた形になっており、それによって強い指向性が生まれました。
素子数が大きいほど利得が大きくなるという特徴があります。
一般的には14素子程度のものが使われますが、電波の弱い地域では20素子以上のものが使われます。
テレビ電波の場合は、親局や中継局からの距離によって、強電界、中電界、弱電界の地域に分かれます。
八木式アンテナは強電界~中電界の地域に向いたアンテナです。
地上波デジタル放送のようなUHF放送では、中継局ごとに偏波面が異なりますが、八木式アンテナは偏波面に合わせて水平にも垂直にも設置可能です。
素子数の少ないものは4,000円程度からあり、イニシャルコストもランニングコストも安くて済むという特徴もあります。
【レベル向上中!デザインアンテナの特徴は?】
デザインアンテナは、従来の八木式アンテナと同等の役割をする地上波デジタル放送受信用のアンテナです。
平面かつ薄型のアンテナで、屋根下部分の壁面などに設置できるように開発されたものです。
外観を損ねることがないため、住宅を新築した人をはじめ、家の見た目にこだわりたい人に人気です。
サイズが小さく薄いため、本当に受信できるのかを心配する人もいますが、感度や強度の高い製品が開発され、八木式アンテナの性能と比べても引けを取らないレベルまで上がってきています。
電波の状況がよければ問題なく設置できます。
平面に設置できるということで、風雨や雪など天候による破損が少なく、カラスやハトなどの害も受けにくいという特徴があります。
デメリットとしては、価格が八木式アンテナよりも価格が高いという点と、アンテナの方向が微調整しにくいという点が挙げられます。
【おすすめのアンテナは電波状況で変わる】
地上波デジタル放送を受信するためにテレビアンテナを設置する場合、どの種類のアンテナを選ぶかを決めるのは電波状況を調べてからです。
「新築の建物の外観を損ねたくないから絶対にデザインアンテナがいい」と決めていても、電波状況が悪い場合は選べません。
八木式アンテナを設置することに決めていても、素子数がどれくらい必要なのかは電波状況によって変わってきます。
電波状況によっては、アンテナの設置場所が限定されたり、方向の微調整が必要になったりするケースもあります。
そうなると、デザインアンテナの設置自体が難しくなることもあるため、アンテナの種類を選ぶよりも、先に電波状況を調べることをおすすめします。